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症例紹介

猫の真菌症 〜皮膚糸状菌症 カビ 脱毛〜

症例】

猫(日本猫) 、4歳、女の子

【初診時のご様子】

10日くらい前から耳と尻尾に脱毛とカサブタ、眼と口の周りに脱毛、ひどい痒みではなさそうだが、毛繕いが他の場所より多い感じがする。

お話を伺うと、1ヶ月ほど前に保護団体から子猫を家族に迎え一緒に暮らし始めたそうです。ただ、この子猫に皮膚の症状は全くありませんでした。

皮膚を拝見すると、目と口の周りは脱毛に加えて皮膚の炎症(赤み)があり、上記の脱毛の他に前足の内側にも毛が薄くなっている部分があるのが見つかりました。

 

【検査】

特殊なライトを使用して脱毛している部分を観察すると、真菌の感染が疑われる毛が見られました。その毛を抜いて顕微鏡検査を実施すると、毛の中に糸状菌の菌糸と胞子が見られました。(培養検査を行う場合もあります。)

【診断】

皮膚糸状菌症(真菌感染)

【治療】

全身的に症状が出ているため飲み薬による治療、患部の塗り薬、患部周囲の消毒を行いました。数日でかさぶたや赤みは消え2週間程度で毛が生え始めました。

 

めでたしめでたし、、、ではないのです!!!

 

真菌症の真の恐ろしさは

  • 抜けた毛も長期間感染の原因となるため放っておくと何度も再感染を繰り返す
  • 人間や犬など他の動物にも感染する

という所にあります。

 

今回は新しい子猫さんを迎えた事がきっかけとなって発症しているため、子猫さんが無症状のキャリアとして糸状菌を運んできている可能性が高いと考え、同居の子猫さんのの治療も同時に開始しました。

皮膚糸状菌症は感染した毛が床などに落ちて次の感染源となります。消毒をしない場合、毛に入り込んだ糸状菌が一年以上感染力を持ち続ける事もあるため、徹底的にお家の中の消毒を行うことが必須となります。

掃除機や使い捨てのモップ(〇〇ックルワイパーなどがお勧めです)を使用して、落ちている毛をできるだけ減らします。次に100倍希釈の次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒剤を使用して殺菌消毒を行います。お布団や衣類などの布製品は、可能なら塩素系の消毒薬に浸けた後、洗濯機に2回ほどかければ安心して使っていただけます。(消毒の頻度は、お家の環境や使用する薬剤によって異なります。)

 

〜その後〜

1ヶ月後

耳やお顔の脱毛はすっかり良くなり、尻尾と腕にも新しい毛が生えてきていますが、患部の毛と、普段よく使っているベッドに落ちた毛を採取して培養検査を実施したところ、まだ感染力を持っている毛が残っていることが判明しました。

完全な除染のため、内服、患部の消毒、環境の消毒をもう1ヶ月継続していただき、再度特殊なライトを使っての検査と培養検査を実施、陰性が確認されたため、ここでようやく治療完了となりました。

【担当獣医師より】

真菌症の治療は、猫さん自身の治療よりも再感染を防ぐための消毒の方が大変な作業になります。お家が全てフローリングの場合と、カーペットが敷き詰められている場合では大変さがかなり違ってきます。また、布類を塩素消毒すると漂白されてしまうため、高価なソファーなど使えない場所も多々あります。

塩素以外にも有効な消毒薬がありますので、お家の状況を伺った上で使いやすい薬剤をご提案させていただきます。