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症例紹介

アトピー性皮膚炎 〜サイトポイント(長く効く痒み止め注射)を使用した症例〜

症例】

犬(ヨークシャーテリア) 、10歳、男の子(去勢済み)

【初診時のご様子】

目の周り、耳、顎の下、脇の下や手足の先などの痒みが若いときから続いているため、他の病院でステロイドや痒み止めをもらっていた。投薬していれば痒みは落ち着くが、薬をやめるとすぐにまた掻いてしまう為、お薬がやめられない。2週間に1回薬用シャンプーを自宅で行っている。

 かなり丁寧にケアをされている飼い主様で、全体的にとても綺麗に保たれている印象でしたが、綺麗にしても痒いこと、ステロイドや痒み止めを飲ませ続けることの副作用などを悩まれていました。

症状としては、目の周りとお耳は赤みが強く、やや腫れている状態。脇の下と内股は黒っぽい色素沈着と慢性の炎症により皮膚が厚くなっている状態が見られ、一部掻きこわして真っ赤になっている部分が見られました。

【検査】

アトピーやアレルギー性皮膚炎を疑う場合、いつから痒いか、季節性はあるか、どんなご飯を食べているのか、またご飯による痒みの変化はあるか、ノミダニやフィラリアの予防歴などの問診がまずとても大切になります。また、他に悪化要因となる感染がないか、抜いた毛や、皮膚をテープでペタペタしたものを顕微鏡で見る検査などで確認していきます。(状態によっては血液検査をご提案する場合もあります)

【診断】

アトピー性皮膚炎

【治療】

長期間効く痒み止めの注射(※サイトポイント)を使用しアトピーの痒みと掻きこわしの悪循環をしっかりシャットダウンしていきます。

この子の場合は掻き壊しによる二時的な炎症が強いため、ステロイドの内服薬を最初の数日間だけ併用しました。

一旦ひどい掻きこわしの皮膚炎が改善した後は、皮膚の炎症を抑えるため外用薬のお薬を併用します。

アトピー性皮膚炎では見た目で皮膚の炎症がなくなった後も、目に見えないレベルで皮膚の炎症が残っていて、お薬をやめてしばらくすると痒みが再燃してしまう事がよくあるため、外用薬を最初は1日1回、皮膚の状態が良くなってからは2日に1回、さらに皮膚が完全にきれいになったように見えてからも週に1〜2回程度の頻度でしばらくは続けていただきます。(プロアクティブ療法)

また、痒みがぶり返す事を心配される飼い主様が多いため、即効性のある痒み止めのお薬を安心のための常備薬として数回分持っていていただくことにしました。

〜その後〜

基本的には1ヶ月に1回の注射を継続していきます。内股の分厚く黒くなった皮膚は外用薬の使用で元のピンク色が回復してきました。

季節や環境の変化で一時的に痒みが悪化することはあるため、その時だけ内服の痒み止めを併用していただいています。以前は毎日朝晩飲んでいたお薬が、月に4〜5回程度で済み、皮膚を掻きこわしてしまう事は無くなりました。

担当獣医師より

 アトピーはまず痒みがあり、掻くことで皮膚の炎症を起こしてしまう、炎症が起こると更に痒くなってしまうという特徴があります。

また、アトピーというのは基本的に外からのあらゆる刺激(菌、気候、食べ物、物理的な刺激、ストレス、その他)に弱い体質なので、完全に治ることを目ざしてしまうと、ずっと治らないと悩むことになります。体質であるを受け入れた上で、まずは痒みをコントロールすること、そして二時的に生じてしまう炎症を抑えて、痒みと炎症の悪循環を断ち切ります。その後はできるだけかだらの負担の少ないお薬でかゆみをコントロールし、皮膚の炎症を悪化させないために定期的な通院が必要となります。

 

※サイトポイントについて

少し前まで痒みのコントロールといえば、ステロイドや痒み止めをその日のかゆみに合わせて飲むのが当たり前でしたが、どちらもお薬が切れる時間帯になるとかゆみが出てしまうのが悩みでした。サイトポイントは1ヶ月の間ずっとかゆみを抑えてくれる注射のお薬なので、痒み止めの切れてしまう時間が無くなります。結果的に掻く頻度が減り、皮膚の炎症が鎮まり、痒みと皮膚の炎症の悪循環をきちんと断ち切ることができるようになります。

このお薬の詳細は下のリンクからご覧ください。

https://www.犬のかゆみ.com/index.aspx

※プロアクティブ療法

アトピー性皮膚炎などの時の外用療法の種類の一つで、症状が出る前に予防的に外用薬を使用します。近年、返す痒みの外用薬による治療にはプロアクティブ療法が推奨されるようになってきました。

詳細は後日別ページで説明させていただきたいと思います。